6. 清代武術名著擇要

清代

『手臂録』

『手臂録』は、呉殳(1611〜1695年)の著です。呉殳は明末・清初の著名な武術家で、又名を喬、字を修齢、号を滄塵子といい、江蘇太倉の人で、後昆山に籍を改めました。彼は文に精通し、武を好みました。少年時、中原の多事に感ずる所あり、騎射を習い、孫武を読みました。崇禎六年(西暦1633年)、石敬岩より槍法を学び、後沙家・楊家の両家槍法を得、并びに程宗猷の『耕余剰技』中より程氏所伝の槍・刀武芸を探明いたしました。順治十九年(西暦1662年)、朱熊占に遇い、峨眉槍法を得ました。康熙十七年(西暦1678年)、又少林僧洪転所伝槍法を据え、『夢緑堂槍法』を撰成いたしました。『手臂録』は共四巻及び附巻上下です。其中、巻三の『単刀図説』、巻四の『諸器総説』・『又説』・『狼筅説』・『大棒説』・『剣訣』・『双刀歌』と『後剣訣』を除き、他の内容は皆槍法です。書中、明代至清初に流伝した石家槍法・馬家槍法・沙家槍法・楊家槍法・峨眉槍法・夢緑堂槍法・程宗猷槍法等の多家槍法に対して注釈と辨析を行い、槍法訣要を総結いたしました。『手臂録』は呉殳一生の槍法に対する実践と研究を含んでおり、呉殳は明清間の槍法集大成者といえ、『手臂録』は「槍経」と称せられるに値する名著です。

『拳経・拳法備要』

『拳経・拳法備要』は、蟬隠廬印本が此書の成書過程を述べるに、明代少林寺和尚玄機が陳松泉に伝え、再び張鳴鶚が編撰いたしました。張鳴鶚は「生平極好武芸、于是挟重資、游海内、遍訪名家。或慕其下盤之善、而效其下焉;羨其上架之美、而学其上焉。兼而習之、久而化焉、遂独成一家」と述べています。清代康熙初、張孔昭は『拳経』及び『習練手法秘要』を補充し、乾隆年間曹煥斗は又増補注文いたしました。光緒間録本は題名張孔昭撰、曹煥斗注とします。此書は『拳経』・『拳法備要』各一巻を含み、問答歌訣二十款、周身秘訣十二項、下盤細密秘訣、少林寺短打身法統宗拳譜、総論入身煞手猛迅精微秘要、習練法秘要、拳法備要等を含んでいます。

『内家拳法』

『内家拳法』は、黄百家(1634〜?)の撰です。黄百家は清初学者、内家拳伝人。原名百学、字圭一。浙江余姚の人。史学・理学及び詩文に造詣ありました。少年時、革代の難に遭い、其父黄宗羲及び明・清換代の遺民志士の影響を受け、文人不武に感ずる所あり、王征南より内家拳法を学びました。征南逝後七年、征南所伝を追思し、『内家拳法』を著し、并びに『王征南伝』を撰びました。『内家拳法』は内家拳源流・練手法・練歩法・内家拳の套路「六路」と「十段錦」、並びに内家拳の禁犯病・打法・心法・穴法等の内容を記述しており、明代内家拳史と技術体系を研究する重要な資料です。

『芟氏武技書』

『芟氏武技書』は、芟乃周(1724〜1783年)の著です。芟乃周は芟氏武技の創編者。字洛臣、号純誠、又名芟三。河南汜水の人。自幼練武を喜び、文武双修いたしました。初め禹襄に学び、虎牢張八の槍法と拳術を学び、四川梁道より棍法を学び、洛陽閻聖道より羅漢拳法を学び、温県陳家溝等地に至り師を訪ね芸を求めました。彼は実践を重んじ、理論を重んじ、養生を重んじ、各家を融会し、易理・医理を以て拳理を闡発し、芟家拳体系を創立し、芟家拳拳法・理法を集めて『芟氏武技書』を撰成いたしました。

旧本は培養中気論及び武備参考の二部に分け、百三十一篇。1932年、徐震が整理重編し、六巻に定めました。『中気論』『陰陽入扶論』『三尖照論』『三尖到論』『拳法溯源序』『合煉二十四勢』『養気論』『讲出手』『讲打法』『打法総訣』『二十四字論』、及び槍法・猿臂棒・双剣等を含み、其中『二十四字拳』は図解を配しています。

『六合拳譜』

『六合拳譜』は、原は唐豪所蔵の抄本です。此譜の「総打」後に雍正十一年(西暦1733年)三月河南府李失名、雍正十三年正月新安王自誠、乾隆十九年(西暦1754年)七月汝州王琛琳、乾隆四十四年汝州馬定振字様があり、其序に「六合拳は山西姬龍鳳(1602〜1680年)先生に出于」とあります。姬氏は明末山西永済の人。精槍法、槍を変じて拳とし、理会一本、形散万珠、拳名六合。所謂「六合」とは「心与意合・気与力合・筋与骨合・手与足合・肘与膝合・肩与胯合」を指します。此譜は六合拳前後に各六勢を介紹し、一勢は十二勢に変ずることができ、十二勢は仍一勢に帰します。六合拳全称心意六合拳、亦「心意拳」と称します。此譜は早期心意拳伝序及び技術体系を研究する重要な資料です。

『太極拳譜』

『太極拳譜』は、李亦畬(1832〜1892年)の手訂です。李亦畬は河北永年県の人。善く文をなし、22歳の時武禹襄より太極拳を学びました。武氏は楊露禅と陳青萍より得ました。李は数十年研習し、其中の精巧を得ました。光緒時に『太極拳譜』を編訂し、其「跋」中に「此譜は舞陽県塩店にて得、兼積諸家講論、并参鄙見」と称しています。所謂得于舞陽塩店とは、譜中首篇「太極拳論」、其他各篇は大体武禹襄と李亦畬二人の作、或は陳家溝歌訣を修訂して成るものです。此譜は『太極拳論』『十三勢架』『身法』『刀法』『槍法』『十三勢』『十三勢行工歌訣』『打手要言』『打手歌』『打手撒放』『太極拳小序』『五字訣』『撒放秘訣』『走架打手行工要言』、及び『四字不伝秘訣』『太極拳譜跋』等、計十六篇(則)を含み、近世治太極拳者に経典と奉ぜられています。

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